2013年6月21日金曜日

9. はなのいろはうつりにけりな

はなのいろは うつりにけりな いたずらに わがみよにふる ながめせしまに

言葉を文字通りに解釈しても意味が通じ、それがまたもう一つの意味を持っているという、暗喩の技法を使った典型的な歌。

花の色が、長雨の間に変わってしまう、という文字通りの意味の裏に、女性としての美しさが、人生の流れと共に、消えていってしまう、という意味が隠されている。

ちょうど真ん中におかれている、徒らに、がよく効いている。その前後の語句を、自然に結びつけている。

ながめ、という長雨とかけている部分は、雨という言葉が、女性の涙も連想させる。

雨とは、農耕民族にとっては、恵みの象徴であるはずだが、貴族社会においては、余計なもの、うっとうしいもの、という存在になっている。

美女伝説が残されている作者の歌ということも、よけい、この歌の裏の意味を、趣の深いものにしている。

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