2013年12月29日日曜日

30. ありあけのつれなくみえしわかれより

ありあけの つれなくみえし わかれより あかつきばかり うきものはなし

この歌集の選者といわれる、藤原定家は、後鳥羽上皇に『古今和歌集』における名家を問われ、迷うことなく、この歌を推したという。

まず、この歌を声を出して読むと、よどみなく、すっきりと読み切れる。純粋に、言葉の並びが美しい。

その意味は、ありあけ、あかつき、という自然の世界と、つれなく、うき、という人間の心情の世界が、一つの世界に融合している。

普通に読めば、つれないのは、恋の相手、と読めるが、定家は、有明の月が、つれなく見えた、という解釈をしていた。

いずれにしろ、決して楽しい歌ではなく、憂し、という感情を歌っている。

言葉の美しさ、自然と人間の融合、少しブルーな感情。それらが、わずか51文字の中に、見事に表現していることが、この歌を名歌としている要因なのだろう。

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